東北では七草がゆの日に七草が取れないから七草を入れない粥を食べるらしいので肉屋はお肉を焼いてみた。

もう7日も過ぎ去ってしまって七草がゆのブログを書いても仕方がないのですが(笑)、七草がゆだけでご飯を済ませるのはどうも癪に触るので、お肉を焼きました。
牛タタキサラダ
まず一品目が和牛モモ肉のたたき風(あくまでも風)サラダ。玉ねぎのスライスをのせ、ぽん酢であっさりと。七草がゆによく合います。

牛モモたたき
ちなみにたたき風とはどうゆうことだと言われそうなので、説明しておきます。あくまでも私なりの解釈ですが、お肉の中心部の血のしたたるような生肉なのが「たたき」、写真のようにうっすらピンク色で血もにじまないのが「たたき風」まあ「ローストビーフ」とでもいいましょうか。ちなみに写真は鹿児島黒牛の4等級内モモなのですが、はじっこの筋かみが多いほうなので霜降りはあまりはいってません。でも赤身はとても上品でおいしいです。

牛タタキ中
このたたき風。今回フライパンだけで作ったのですが、実はなかなか難しいんです。火力のコントロールと焼き時間には熟練を要します。 いちおう弊社のHPには参考までに、フライパンや炭火でグリルするときの火加減について記事をまとめていますので、参考にしてくださいね。(九州食肉学問所ホームページBBQfun.jp)  たたきはレアとミディアム・レアのちょうど中間あたりでしょうか。

 

牛ロースステーキ
ステーキなんかは分厚いのをミディアムでいっちゃうのが一番おいしいです。写真はオーシャンビーフのリブアイです。厚さは3cmくらい。

牛ロースステーキミディアム
フライパンだけでもみごとなミディアムが焼けます。

そんな七草がゆの夕食でした。

新年そうそうに想うこと

除夜の鐘を久しぶりに突いてきました。その直後からなぜか発熱し、元旦と2日はほぼ丸一日床に臥せっておりました。悪いものがすべてでて、快適な正月3日目となりました。 あらためてあけましておめでとうございます(笑)
小売業者の使命

除夜の鐘のあと、ふらりと入ったコンビニで、食生活のバランスを意識して「野菜ジュース」を購入しました。ラベルにも書いてあるとおり、「濃厚なジュース」をイメージしました。でもなんだか安い。でも他に選択肢がない。とりあえず手に取り、レジを済ませました。

悪い予感は当たりました。これは野菜ジュースとは到底呼べる代物ではなく、烏龍茶に野菜みたいな成分をいれたなにかでしかありませんでした。もしかすると値段相応なのかもしれません。でもパッケージから受ける印象とはほどほど遠いものでした。この直後、頭痛と咳で倒れるわけですが、この野菜ジュースとは無関係だろうとは思いたいものです。

食品の値段を安くするには次の方法があります。

  • そもそも安い原材料を使う。
  • 水で薄める。
  • 食品添加物で増量する。

安い原材料といえば、中国産が思い浮かびますよね。今年もいろいろトラブルを起こしてくれました。でもね、日本の農場で作られるものだって、すごいもの多いですよ。安く大量に作るためにはそうせざるをえないですから。 また水や食品添加物で増量すれば安い商品はいくらでも作れます。そして、それを多い隠すかのように商品のネーミングはかっこよく、パッケージはより魅力的になっていっています。

今年のコメ偽装や食品偽装、違法農薬混入でも明らかになったように、本当に良いものを安く大量に取り扱うことはいろいろな危険性がはらんでいます。近々では、(まだ原因究明できてないけど)マルハニチロの冷凍食品に危険な農薬が混入が記憶に新しいですね。 というか、今日もあらたに被害報告が出ている模様。 対応もゴテゴテです。

私は「食品添加物絶対反対」ではありませんが、大手流通業者の真似をして、お客様の健康に将来にわたって災いを招きかねない商品づくりは絶対にしないと誓うばかりです。 またそのような商品に対して、良識ある判断を提供していきたいと考えています。

 

今年最後に思うこと。

九州食肉学問所本店

今年一年、本当に多くのお客様や友人に九州食肉学問所をご愛顧いただきありがとうございました。
経営者になって、9年になりますが、初めて手応えを感じた年になりました。

といってもまだまだ経営は楽ではなく、さらに一層精進していきます。

手応え、というのは、ようやく九州食肉学問所という小さな田舎町の肉屋が、やるべきことをやり、
やらないことは捨てるということができたことです。

私が経営者になってからは、(私の経営者としての力不足はもちろんですが)なんとも乗りきり難い、切ない事件が特に多かったです。

特に厳しかったものは、

  • セシウム汚染牛肉の流通
  • 口蹄疫による牛豚の大量殺処分
  • 大手による偽装

の3つです。

もともと、上2つの汚染牛肉と口蹄疫殺処分で、今年の年末の牛の価格は厳しいものになるだろうという見通しでした。そこに有名ホテルに端を発した食材偽装がつきつぎに明るみになり、お肉の信頼を失墜させるとともに、お肉の価格の高騰を招きました。

偽装事件は想定外でしたが、食肉の価格の高騰は十分予測でき、当店では今年の前半に「やるべきこと」「やめるべきこと」を決め、それを実行に移しました。

やるべきこと

まずは経営の主力を「楽Q便」とネットショップ「九州肉屋.jp」にしぼりました。
まだまだしぼれば?というご意見をいただきそうですが、この2つは下記の点で密接に絡み合っています。

  • 業務用ではなく、最終のお客様とつながること。
  • 配達&回収でお客様との接点を増やす。
  • 小分け&セット組

ということです。
楽Q便もネットショップも直接当店がお客様からの注文対応をすることで、お客様の潜在的なニーズをくみ取っています。これは客単価のアップにつながっています。配達と回収を自社で行なうことで、お客様との接点を可能な限り増やし、「生の声」を取り入れるようにしています。ネットショップではさすがに全国に自社配送はできませんが、お届けあとのフォローや「お客様の声」をいただくことで、商品やサービスの魅力アップにつなげています。

最後の「小分け&セット組」が目玉です。
お客様個々の事情に応じて、商品を小分けしたり、簡易包装できるようにしました。またそれをピックアップ冷蔵庫&冷凍庫(アマゾン物流倉庫がすべて冷蔵庫冷凍庫になって、小さくなったと思っていただければ)でセット組し、お届けすることができるようになりました。 楽Q便の作業時間は大幅に短縮(半分くらい)に短縮され、かつ正確になり、ご注文の増加に対応することができました。 またネットショップでも発送までにかかる時間がざっと1日短縮され、迅速にお客様に商品をお届けできるようになりました。しかも離乳食用に100gずつの小分けなども対応できています。

やめるべきこと

やめるべきことして、やめたのは次の2つです。

  • スーパーのテナント
  • 業務用卸

スーパーのテナントは当店が創業以来からずっとおこなってきました。これを今年8月にすっぱりとやめました。
当社の売上の2/5ほどを占めていた大きなものでした。毎日毎日パック商品を店頭に並べ、セールをする。売れないお肉はさらに値引きする。すべてではないですが、その売上は地域の人口とスーパー自体の集客力に大きく依存しています。直接お客様と接する時間も極端に短いです。他力本願な部分が多い割に、人件費や包装費、もちろんテナント料とコストの大きい商売でした。

業務用卸は、価格競争が激しく、ちょっとでも値上げをしようものなら他社に取られる。しかも配達料も取れない。まあこれが今回騒動となった偽装問題の大きな原因なのでしょう。

この2つの業務は当店が「やるべきこと」と決めた楽Q便とネットショップとは、まったく相容れないため、やめることにしました。

この「やるべきこと」と「やめるべきこと」を実行して、新しい九州食肉学問所をスタートさせた年になりました。

安心・安全の崩壊

この新しいスタートをするために、最優先したことが、食肉の「安心・安全」を守るということでした。
当店は九州食肉学問所として、従来から「九州産の食肉」を扱っています。指定農家の仕入れはもちろんですが、そういった範疇にできないものに関しても、できるだけ良い生産者のものを取り扱うようにしています。

取引先にも理解していただいていたつもりでした。ところが、震災以降、取引先が「九州産」以外のものを、なにも考えず納品しようとするようになりました。もちろん九州産でないから悪いということではないのですが、これまでには見たことないような産地のお肉が大量に九州でも流通しているようです。

スーパーなどで安売りを維持していくためには、高騰する九州産のお肉よりも産地不明なお肉が安い。こうしたお肉を仕入れてしまうリスクよりも、規模を縮小して、すべての仕入れにおいて私の目が届くようにしました。
さらに可能な限りの放射能精密検査(現在は1ベクレル/kg)を農場持ち回りで実施し、安心安全なお肉を皆様に届けられるようにしました。

まだまだ改善していくべき課題は山積みですが、来年一年を皆様といっしょにさらに良い年にしていきたいと思っています。