無添加ウインナー作りへの道 余談

これまで無添加ウインナー作りへの道というブログを2件書きましたが、
無添加ウインナー作りへの道 その1
無添加ウインナー作りへの道 その2
その3に入る前に、余談。

合成化学物質いわゆる食品添加物を勉強していくと、やはりいろんな食品にどんな添加物が作られているか気になる訳です。
ちょっと例を上げながら、気になった点をご紹介。

まずは「ブドウ糖果糖液糖」
ぶどう糖果糖液糖
ブドウ糖果糖というと、ああ果実からとった糖なんだなって感じです。
れっきとした合成化学物質です。果糖のパーセンテージが高いと名前がひっくり返って「果糖ぶどう糖液糖」になりますw
ほとんどの甘い食品には使われています。日本人が大量に摂取しているといっても過言ではないですね。

次に「ビタミン」系
食品添加物ビタミン
ビタミンA、B1、B2、C、Dといろんなビタミンが入っていて、いかにも「体にいいじゃん!」って感じです。
これらのビタミンはほとんどが「天然もの」ではなく「合成化学物質」です。天然ものを使用すると値段があいません。

ビタミンB1は別名「ビタミンB1ラウリル硫酸塩」だったりします。抗菌作用が強いので細菌の繁殖を抑えるため、「保存料」として添加されます。
天然に存在するビタミンB1とまったく違うものです。天然のビタミンB1には抗菌作用はないそうです。

ビタミンB2は美味しそうなクリーム色を演出する合成着色料です。まあ「黄色4号」などよりは危険な感じを与えないので使用されています。

ビタミンCは合成酸化防止剤です。天然のビタミンCは不足すると壊血病、貧血などを起こしますが、普通の食事をとっていれば問題ないそうです。
食品添加物としてのビタミンCは酸化を防止する目的でのみ使われています。

ビタミンA,D,Eについても同様のようです(詳しく調べて追記します)。

ある書籍では、これらのビタミン類があたかも天然もののように「消費者の健康のため」的に喧伝され、使用されている食品は問題だと指摘しています。
また合成化学物質としての本来の物質名が、あたかも「天然もの」を装って表示できる現状は問題です。

次に、表示が省略できる問題点です。
生乳(50%未満)この商品を手にとったとき、「お、添加物を使ってない商品じゃん!」と思いました。
友人から「生乳(50%未満)ってなによ」ってつこまれるまでは。

牛乳は生乳100%のものしかそう呼べなくなっています。じゃあ残りの50%以上ってなんなの?
メーカーに確認したところ 「水以外にもいろんな物質を使用していますが、【一般公開する義務がないので、お答えできません】」と撃沈。
怖い(笑)

もうひとつが、
果汁何%?父が飲食店をやってるものですから、お店にあったリキュールを何気なく手にとってみました。

あんず酒とあるのに、原材料名のところには「あんず」がありません。書いてるのは、酸味料、香料、カラメル色素という添加物ばかり。
ぶどうやライム、ざくろ、などのシリーズをすべてみても、肝心の果物そのももが原材料名に書いていません。
書いてあるのは添加物ばかり。それぞれ着色料を変えて色味を変えているようです。

「これは果汁何%ですか?」とメーカーに確認したところ、「商品名の果実を使っているのは確かです。【ただし何%なのかは法律上義務がないのでお答えできません】」、といわれました(笑)

最後に、もう申しあげることはない素敵な商品。とてもおいしいです。
サンドイッチに使用されている食品添加物

次回は、無添加ウインナー作りへの道 その3です♪ 閑話休題〜。

 

 

無添加ウインナー作りへの道 その2

前回「無添加ウインナー作りへの道 その1」の続きです。

学問所内での試作や製造を委託している加工所での製造を重ね、少しずつ無添加に近づく努力をしてきました。
一番手ごわかったのがリン酸塩(Na)と調味料(アミノ酸)。
これを抜いてしまうと、とてもウインナーとはいえない代物になってしまうと、加工所長に反対をうけました。

学問所内での試作でもこれらを加えないウインナーはなかなかうまくいきません。でも味がまずいというわけではありませんでした。
練具合をもう少ししっかりすれば、問題じゃないのではと結論をだしました。
そして、とりあえず作ってみるということで、40kgの小手川豚トンを投入しました。

そして今回、本当に無添加のウインナーが完成しました。

小手川豚トンファーム 無添加ウインナー原材料表記がシンプルです(笑)。

その1で紹介した標準的なウインナーと比べてみると、違いは歴然です。
一般的なウインナーの成分表示

 

表にしてみると、

原材料 一般的なウインナー 無添加ウインナー
豚肉
鶏肉
豚脂肪
大豆たん白
食塩
香辛料
砂糖
ポークエキス
でん粉 X
加工でん粉
調味料(アミノ酸)
リン酸塩(Na)
保存料(ソルビン酸)
酸化防止剤(ビタミンC)
pH調整剤
発色剤(亜硝酸Na)
香辛料抽出物
くん液

さらに違いは歴然です(恐)。◎が合成化学物質でいわゆる添加物というものです。
※間違いがあれば教えてください。

ウインナーをはじめ、現在市中に出回っている多くの加工品で、複数の合成化学物質が使用されています。
その1でも書きましたが、それぞれ個々の物質の安全性はラットを使い検証され、国が許可を出しています。問題は同時にこれだけの量の化学物質を使用した食品としての安全性はかならずしも検証されていないことです。

次回その3では、ウインナーに使われる合成化学物質を確認しながら、私が実感した味の違いを検証してみたいと思います。

無添加ウインナー作りへの道 その1

 

4年前に誕生した長女が軽度のアトピーを持っていて、なにか食べるとそれが反応し、体中が赤く、痒くなる。因果関係はわからないけど、なんとなく「食品添加物」が絡んでるんではないかなと漠然と考えていました。

妻も長女のアトピーは自分の食生活にあったのではと感じてるようで、食生活に多少気をつけたところ、長男はアトピーなどをもつことなく無事誕生しました。

長女は成長とともにアトピーの影は和らいでいるものの、顔や皮膚が赤くなって痒がる姿を見ると、この子たちを含め、自分達の食生活にさらに注意をしないといけないと感じます。

自分たちが販売する食肉や食肉加工品(ハンバーグ、とり天、とんかつ)にも、なるべく自社では添加物(合成化学物質)を加えないで作るよう努力してきました。

そしていよいよ、最大の難関?であるウインナーにメスを入れることにしました。

一般的なウインナーの成分表示

上記の写真は、一般的にスーパーで販売されているウインナーに使用されている原材料の表示です。
いろいろな本や雑誌を読んで勉強してきて、初めて知ったのですが、「大豆たん白」、「ポークエキス」、「加工でんぷん」など、なにか天然抽出した材料に受け取れます。
でもこれらもれっきとした「合成化学物質」。基本的には材料に薬品(塩酸など)をまぜて、成分を抽出してできるものです。

調味料(アミノ酸)、リン酸塩(Na)、保存料(ソルビン酸)、酸化防止剤(ビタミンC)、pH調整剤、発色剤(亜硝酸Na)、香辛料抽出物、くん液などは言わずもがな合成化学物質です。

問題はこれらは単体の素材としては、安全性試験を通して国の認可をうけて使用されているのですが、複数の物質が混ざって作られる食品としての安全性は必ずしも確認されていないこと。
もうひとつは、化学反応をするときにでる不純物もかなり混ざっているということです。

そして最後に、景気の低迷で、食品のプライスダウンが要求され、消費者や販売店の意向をくむ形で、合成化学物質が大量に使われ始めているというのが大きな問題だと思います。

 

今回を含め、今後のブログでも、ひとつひとつの物質を取り上げて、批評することはしません。私の専門でもないです。私が取り組むのは合成化学物質がどこまで減らせるのか、という点です。

ウインナー作りについては、自社でも簡単な設備を導入し試作を重ね、また研修などにも参加して研究をしました。

そして今回作ったウインナーの原材料が下記写真です(サンプルなので、猪豚肉を使ってるのはご愛嬌)

九州食肉学問所ウインナー

リン酸塩(Na)と調味料(アミノ)酸をのこして、合成化学物質を使用せずに作りました。

と言いたいのですが、ここで驚愕の事実が判明。 試作の段階の打ち合わせでは「でん粉」を使うということは決まってました。私もでん粉なら天然ものだし、問題ないだろうと感じていました。
この時点では「でん粉」と「加工でん粉」が似て非なるものとは気づきませんでした。実際、試作で上がってきたウインナーをみると「加工でん粉」が使用されています。
加工業者に「でん粉」を使うといったじゃないか!とクレームを上げました。

食品業界の中でも、「でん粉」と「加工でん粉」が違うものだという認識がほとんどないとう実態が現れたのだと思います。

この加工でん粉については次回でもうちょっと詳しく取り上げます。

そして本当に微量なのですが、リン酸塩(Na)と調味料(アミノ酸)については、今回外すのを断念しました。
試作づくりでも、このリン酸塩(Na)がないと、どんなに肉を練っても、仕上がりがハンバーグみたいにぼそぼそするのです。弾力もありません。
調味料については、味を整える上でしかたなく使用を継続しました。

この試作品をいろんな方に食べていただきましたが、「肉の味がする」と好評をいただきました。自分で食べてみてもおいしいと感じます。

現在、小手川豚トンポークを使用したウインナーの原料投入をしました。 仕上がりが楽しみです。

リン酸塩(Na)と調味料(アミノ酸)は今後の課題として取り組んでいきます。