肩ロースを扱えればもう怖いものなし その2

肩ロースを扱えればもう怖いものなし その1
の続きです。

前回は、肩ロースからカブリをはずし、脂肪と筋肉の交わりが複雑なリブロース側(1/3程度)を切り離しました。
今回は、残った本体の商品化を進めていきます。

まずロース芯を切り離し、ザブトンを取っていきます。
切り出したザブトンのうち肩側1/3は、繊維の流れが変わります。
若干硬くなるので、そこを切り取ります。
切り出した部分は、マンジュウと呼ばれています。
もちもちしていて味わいが深いところです。

今回はザブトンの商品化まで進めていきます。

肩ロースの切断面として見えていた部分は、今後ご紹介するマエバラにつながっています。
この見えていた部分から大きめの冊(幅15cmほど)を2本ほど取ります。
それ以降(ネック側)は繊維の流れがかわるので、その流れにそって冊取りをします。

あとはその冊を厚切りにしていって焼肉用に商品化していきます。

次回は、残ったリブロース側と、ロース芯、マンジュウの商品化を説明します。

これはひどすぎる「産地偽装」 肉のいろはとMORI

「肉のいろは」は、平成22年4月1日から同年5月11日までの間(以下「当該期間」という。)で確認できた範囲では、アメリカ産の豚肉を使用した豚トロ11.7kg、豚ロース387.2kg、アメリカ産及びメキシコ産の豚肉を使用した豚ヘレ113.9kg、アメリカ産・カナダ産及びメキシコ産の豚肉を使用した豚肩ロース905.8kg、豚バラ930.6kgを国産と表示して一般消費者に販売したこと。また、当該期間で、豪州産の牛肉を使用した牛リブロースステーキ89.64kg、牛上赤身ブロック(モモ)33.4kgを国産と表示して一般消費者に販売したこと。 」以下略
大阪府報道発表資料

毎日新聞「偽装表示:「隣の店に負けないために」大阪の食肉業者

わずか1ヶ月の間にこれほどの偽装をおこなっていたとは、もう逆にゆうと「天晴れ」です。
しかも数年前から偽装していたとのこと。

もちろん経営者がもっとも悪いのだが、一体全体、従業員はなにをしていたのだろうか?
だまって見過ごしてきたのだろうか。

当店では作業のほとんどを身内ではないスタッフが担当しています。
偽装など指示しようものなら、反発をくらいそうな勢いですし、私自身そんな指示できません。
というかそうゆうように従業員を厳しく指導してきました。

「二つの業者は同じショッピングセンター内の隣同士で営業。お互いに「隣の店がやっていた。競争に負けないために表示を偽った」などと話しているという。」
肉業界は、熾烈なな競争環境の中にあります。
しかも口蹄疫などの風評被害や相場上昇で瀕死の状態です。
まだまだ全国に同じような肉屋があるのではないか。
農水省は口蹄疫で大変だとおもうが、がんばってほしいものです。

「このため、JAS法に基づき、平成22年7月12日付けで改善の指示を行いました。」
改善ですむ話なのだろうか・・・この業者のおかげで、善良な肉屋が何件とつぶされてきたでしょうに。

肩ロースを扱えればもう怖いものなし その1

牛肉には大きく「まえ」と呼ばれる部位があります。

この「まえ」には、
・カタバラ(マエバラ)
・カタ(ウデ)
・カタロース(クラシタ)
・ネック、マエスネ
が含まれます。

カタという単語は漢字で書くと「肩」なのですが、音が「硬い」にも通じるのであまり良いイメージに聞こえません。
なので当店ではカッコ内の別称を主に使用しています(ずるいねぇ)。

さてこの「まえ」。
脂や繊維の交わりが複雑のため、サーロインやモモ肉などに比べると、若干安く流通しています。
スーパーのスタッフにはなかなか使いこなせない部位です。
また運動をする部位なので、やはり「硬め」です。
しかしながら、きちんと筋肉繊維毎に分割し、筋・脂をひいて商品化すると、付加価値の高い商品作りができます。

肩肉(ウデ肉)については、すでにご紹介ずみです。

今回は、「肩ロース」の商品化を見て行きたいと思います。
動画を加工する時間が最近ないので、ちょっとずつ小出しにしていきます。

肩ロースは「マエ」に分類されますが、同時にロースの仲間です。
・サーロイン
・リブロース
・肩ロース
ロース3兄弟と勝手に呼んでいます。

この肩ロース。
最近TVや雑誌でも登場する「ザブトン」と呼ばれる貴重な部位が取れます。非常にやわらかく、ジューシーで味わいのあるお肉です。
そして若干硬くなりますが、「マンジュウ」、「シン」と呼ばれる焼肉用商材が取れます。
おまけにロースステーキも商品化できます。
冬になれば、すき焼き、しゃぶしゃぶなどにも濃厚な味のスライスが商品化できます。

万能です。
これ一本あれば、なんでも出来ます。

さて実際に肩ロースを捌いていきます。

肩ロースは、へたに捌くと歩留まりが悪く、商品化が難しい部位です。
ただし相場は安いので、きちんとすれば非常に利益率の高い商品化がおこなえます。
今回は焼肉用をおもに商品化していく前提で捌いていきます。
最初に、カブリ・かたコブを取り除きます。リブロース側からザブトンの始まるところまでは、繊維のかみ具合が複雑なので、ステーキやスライスの商品化をしていきます。
そして見えてきたザブトン、マンジュウ、シンを商品化していきます(以降次回)。