肉屋の会計はどうなってる?

前回のブログのなかで、売上総利益や売上総利益率ということばを、
とりあえずみんなご存じのこととして話を進めました。

会計には多くの方に苦手意識をもたせる理由である専門用語がたくさんあります。専門家に「利益」といっても「どの利益?」となってしまい、話が進みません。

この専門用語を理解する前に、かならずおさえておきたい概念があります。
これを理解しておくと、会計の理解がぐっと楽になります。

STOCK(ストック)とFLOW(フロー)です。

会計のなかにもいろんな専門用語(勘定科目など)がでてきますが、ざっくりいってしまうとこの
STOCKとFLOWに集約されます。
また、この2つの概念は経営分析をおこなうときにも重要です。

STOCKとは、よく現場で「それ冷蔵庫にストックしといて!」とか、「まだストックある?」
など、在庫といゆう意味で使われています。会計では在庫ではなく、なんか貯まった(溜まった?)ものという意味です。

対して、FLOWは、流れという意味です。

良くたとえられるのが水道水とコップです。

水道の蛇口をひねると水がでます。この水がコップに注がれる量がフローです。
そしてコップに貯まった水の量がストックです。
はじめコップに水がなければ、STOCK=FLOWですが、
コップに水があったら、注がれた量を足したものが、STOCKになります。

計算式で説明するとこうなります。
STOCK(t+1)=STOCK(t)+FLOW(t)・・・ (1)
ここでtというのは時間の概念です。

tは現在、t+1は明日とかです。

(1)を変換すると

STOCK(t+1)-STOCK(t) = FLOW(t)
これは
⊿STOCK =FLOW・・・(2)
となります。

ここで⊿(デルタ)は変化を表す記号です。

つまりストックの変化した量はフローの量です

さてここまで押さえたところで、会計の話に戻りたいと思います。

会計には、必ず理解すべき財務諸表というものがあります。

1:貸借対照表(バランスシート, B/S)
2:損益計算書(ProfitLossStatement, P/L)
3:キャッシュフロー計算書(CashFlow Statemet C/F)
です。

B/Sに出てくる用語はすべてストックです。
P/Lに出てくる用語はすべてフローです。
C/Fに出てくる用語はすべてフローです。

売上や、原価、売上総利益といったことばはすべてP/Lに出てきますから、
フローの概念です。

逆に現金、在庫、売掛金などは、B/Sに出てきますから、ストックの概念です。

このストックである現金がいくら変化したかをキャッシュフローといいます。
これを詳しく説明したものがキャッシュフロー計算書です。現金というストックが変化した量ですから(2)にもとづいてフローなのです。

この3つの財務諸表は後日説明します。

ちょっと難しい話ですが、このストックとフローは経営分析にも必要な概念です。
経営分析の本を読むといろんな指標とその計算式がでてきて、理解するのに
一苦労ですよね。
でも経営分析もこのストックとフローで基本的な分析内容が決まるのです。
あとは用語が難しいだけです。

STOCK÷STOCK(なんとか比率)安定性分析

STOCK÷FLOW (なんとか回転期間) 安定性分析

FLOW÷STOCK (なんとか回転率) 効率性分析

FLOW÷FLOW (なんとか率) 収益性分析

これだけです.

*例外として、なんとか増加率(成長性分析)や労働装備率など(効率性分析)があります。
*固定長期適合率(STOK÷STOCK)などは適合比率とよんでくれといいたいぐらいです。

たとえば売上総利益率は利益を売上で割って求めます。
利益も売上もフローですから、FLOW÷FLOWです。
だから売上総利益「率」です。

FLOW÷STOCKの例は
一か月の売上を在庫で割ったてもとめる在庫回転率です。
100万円の売上があり、期間の平均在庫額(の売上相当額)が10万円だったとすと。
在庫が10回転したといこととです。

STOCK÷FLOWは上記の逆数ですから
1÷10=0.1か月=約3日
在庫は約3日間で回転するということとです。だから回転期間という指標になります。

この経営分析については、また後日ご紹介します。