スタッフがひとりでも増えればコミュニケーションの壁ができる:お肉屋さんのクラウド活用術 その1

GoogleDriveの追加容量が劇的に安くなりました。 Skydrive+100とDropbox+50に分散してもっていたさまざまなデータをここで一気にGoogleDriveに預けることにしました。100GBではこころもとないので、一気に1TBに。

GoogleDrive

ちなみにこの話をFacebookでみてから、どこから追加容量を買えるんだろうと一時探しました。

GoogleDrive追加容量購入

GoogleDriveの左側メニューの一番下に、密かに申込みページへのリンクが。月9.99US$で無事1TBを追加できました。

GoogleAppsを利用しはじめたのは確か5年前。もちろん無料プランでアカウント数は50まで利用できます。いまはきびしくなってて、無料のお試し期間しかありません。その辺はとてもラッキーに活用させてもらっています。

そもそもなぜGoogleAppsを利用しているのか。 自分へのメモ的に簡単に書いておきたいと思います。 もっとこんな使い方できるよ!というのがあったら教えてください。 

うちは従業員&アルバイト含めて10人程度の小さな肉屋です。

スタッフの家族にインフルエンザがでてそのスタッフを休ませたりすると、もうウチみたいな小さい肉屋はアップアップになってしまいます。

そしてこんな小さな肉屋でも、生じる問題がスタッフやお客さんとのコミュニケーションの問題。特にスタッフとのコミュニケーションにおいては「こんな近くにいるのになんで連絡ミスが起きるんだろう。」といったものばかり。

言った言わないで喧嘩になることはないけども、お客さんへの対応や作業などいろいろな面で問題がでてきてました。 

業務用は縮小してスーパーのテナントは撤退したので、楽Q便ネットショップといった個人客がここ数年増えてきました。 お客さんやスタッフとのコミュニケーション強化も踏まえ、きちんとした仕組みが必要だなあと感じていました。

でも大掛かりなシステムや市販のソフトを購入するお金も勇気もない。

そこでいろいろ検討して5年前に導入したのが「GoogleApps」でした。いまならMicrosoftのOfiice Oneなども検討に上がろうかとは思うが当時はまだありませんでした。

当店が運営する「宅配炭火焼肉 楽Q便」も「ネットショップ 九州肉屋.jp」もこのGoogleAppsがなければ今の成長はなかったと思います。

スタッフと共有&共同編集する。

GoogleAppsだけでなくDropboxやOnedriveなど様々なクラウドサービスの中で、情報を共同編集(同時編集)したり共有したりすることに、GoogleAppsに勝るものにいまのところ出会っていないません。

GoogleApps管理画面

GoogleAppsは独自ドメインで利用できるGmailの企業版みたいなもの。ユーザーを登録すれば、それぞれ一意のメルアドと、Gmailの殆どの機能が利用できます。

GoogleDrive共同編集

GoogleAppsのドライブで一番すごいのが同時編集機能。 一枚のシートを複数のPCやモバイルから同時に編集できます。 上の写真で左下のほうに色付きの枠があるのは、いまもうひとりが他のPCから同じシートを編集しているということ。 これをDropboxでやるとなると必ず競合(Confliction)が起きて、複数コピーができてしまいます。 でもGoogleDriveなら大丈夫。2~3件同時に注文電話かかってきても、いまでは間違いなく受注できています。

GoogleMaps

そしてGoogleMap。配達担当のドライバーには同一アカウントのタブレットもしくはスマフォをもたせてます。配達先で★マーク。 また分かりにくければ写真撮影。器具の回収も楽ちんになりました。

Googleサイト

GoogleSite。うちはあまり使ってませんが、ここでいろいろな情報共有ができます。

GoogleAppsアプリ

GoogleAppsは基本的にGmailと同等の機能が使えます。とくに本来の機能のメールは強力です。

カスタマーサポートする。

gmail
当店の運営するホームページやネットショップに入ってくる注文、問合せ、見積もり依頼はすべて、GoogleAppsのGmailに転送されてきます。

Gmailには転送されてきた先のメールアドレスと署名を自動的に選択して返信してくれる機能があるので、お客さんに間違ったメルアドで不信をいだかせるようなことがおきません。

また検索機能がすごいので、お客さんとの過去のやりとりなども見ながら、ネットショップの注文を処理したりしています。

成果物を共有する

編集が必要でない成果物(PDFや画像など)はDropboxで共有していましたが、これもこれからGoogleDriveになりそうです。

ScanSnap

紙であがってくる顧客データはすべてScanSnapでGoogleDriveにアップしていて、あとで検索できるようにしています。GoogleDriveの検索機能ももちろんすごいので、お客さんからの問合せで過去の注文を調べたいときは、名前やキーワードをいれればすぐに過去の伝票がピックアップされます。楽Q便はとくに「前回とおんなじ感じで!」と言われることが多いので、この機能は助かります。 

これまでは紙ベースで膨大な資料の中から探しだしていたので、受注にものすごく時間がかかっていました。

仕入伝票や見積もりなんかもすべてScanSnapで取り込み。

GoogleAppsはScriptを使えればもっと便利になるようです。このあたりは余力で勉強して、まあちょっと便利にできればいいかなと感慨得ています。

最後に

GoogleAppsはとても便利です。導入も簡単です。有料プランでもそんなにコスト高いものではありません。それ以上にパフォーマンスがすごいです。導入しない理由がありません。

でも、いろいろ仕組みは出来上がっても、結局それを使いこなせるかはヒトによります。うちの場合は、PCやスマフォすらもあやういスタッフに使わせていかなくてはならないので、一苦労です。5年かけて、ようやくみんなに理解してもらったという感じです。 でもその苦労は無駄ではなかったと思います。

オーソドックスに勝るクリエィティブはなし。 片田舎の小さな肉屋の集客方法

肉カフェを始めて、約6ヶ月。いろんなトラブルもありながらも、お客様に着実に認知いただき、売上も順調に伸びている。利益はまだまだ苦しいが。

大分市内中心部よりもさらに遠いところから、鶴崎という東部の辺鄙な場所にあるお店に連日多くのお客様に来ていただき、本当に嬉しい限りだ。

特に2月に大幅改定したランチメニュー登場以後は、かなりの手応えを感じている。例年2月といえば、(うちに限っていえば)暇で暇でなんともならない月だった。それが今年は混みすぎてご来店いただいたお客様をお断りするようになるとは思わなかった。

そして、どこから噂を嗅ぎつけたのか、いいタイミングで地元のテレビ局さんから取材がきて、それが先週土曜日(OAB 「れじゃぐる ランチの女王」 3月9日)に放送された。
カフェ

鉄板ハンバーグ 肉汁

今回取り上げてもらったのが「鉄板ハンバーグランチ」。ハンバーグランチは九州南蛮渡来牛と小手川豚トンポークを中心とした九州産のお肉を使っている。肉汁を演出するために、へんな混ぜ物は一切していない。肉本来のおいしさを味わってもらうため、ソースもあっさりとしたものに。デミグラスソースやケチャップではせっかくの肉のうまみを消してしまう。やわらいけど肉の味がしっかり楽しめる。

やったことはとても単純なことばかりだった

2009年のオープンから去年の9月までは、カフェ&雑貨という形で展開していた。雑貨は雑貨専門店が強くかなわない。カフェとはいってもコーヒー等には力をいれておらず、ここも専門店にはとてもかなわない。いろいろ考えた結果、次の3点を強化した。

  • 肉屋のカフェだから肉を置いた。
  • メニューはオーソドックスなものに絞った。
  • イベントカレンダーを活用した。

突飛なことはまったくしていない。

肉カフェらしい品揃えってなんだろう。

去年9月から漠然と肉カフェという形で始めた。狭い陳列の中でどんな商品をおこうかと半年間試行錯誤した。

陳列されている商品は23アイテムほどだが、結局オーソドックスなものが売れるので、そこに絞り込んでいった。ランチで食べた材料のお肉がその場で買える。カフェに来たお客さんが待ち時間の間にぶらぶら眺めて注文するというシーンがが多くなった。

作業場では常時ネットショップの作業が回転していて、実は普通のスーパーよりも品揃えは多いのだが、そこは隠している。奥深い部分は知る人ぞ知る感じにしている。店頭で何キロも購入するお客さんがいたり、レアアイテムを購入しているお客さんをみて、知らずにランチをしているお客さんからびっくりされることも多い。テールやほほ肉なんかは陳列していても売れることはなかったが、隠したら売れるようになった(笑)

肉カフェの肉

結局オーソドックスな商品が売れる。

オーソドックスに勝るクリエイティブはなし

ランチメニューでオーソドックスとえば、いわゆる定番メニューだろう。カフェでいえば、ハンバーグランチやナポリタンかもしれない。大分というくくりでは、とり天定食やからあげ定食だろう。どこにいってもあるし、差別化しにくい。でもやはり安定して強いのがオーソドックスな定番メニューだ。 

クリエイティブというのは創作料理といえるかもしれない、小皿がたくさんでてくるやつだったり、盛り付けが手が混んでたり。でもはっきりいって、この手の料理を出す店で、長く続いたお店を見たことがない。愛されているお店ほど、オーソドックスな料理をきっちりとこなしている。

目立つためだけに突飛な料理を提供して話題作りをしてるところもあったり、流行に流されまくって、新規出店を繰り返すような店も多い。まあ、儲かっているからそうしてるんだろうとは思うが。

メニューをより肉カフェらしく、かつ末永く愛してもらうために、徹底的にオーソドックスなランチを追求することにした。結局いろいろ考えた手の込んだメニューよりもオーソドックスなもののほうが人気がでた。

鉄板ハンバーグ

世間ではやたらオリジナリティだとか、クリエイティビティだとか、珍しいことやって集客しましょうよとか、カネかけて販促して無理やり売り込むような商品も多い。まあ行政がそれを後をしていたからしょうがないのだが。

でも思う。「人間のこころの中に記憶として残るのは結局オーソドックスなものだよね。」

そして、またこう思う。「オーソドックスなものの追求が、小さいお店の生きる道」だと。

全国の中小飲食店経営者に捧ぐ。メニュー価格は利幅に余裕を持って。春以降の食肉業界はさらにさらに厳しいかもしれない。

4月には消費税率が3%ポイント上がり8%となる。

お肉屋さんからお肉を仕入れて、看板メニューにしている中小の飲食店さんは、よもや3%だけお肉の値段が上がるとは夢々思わないほうがいい。

食肉業界、ひいては畜産業界では、非常に恐ろしいことが起こっている。

まず価格上昇の背景には国産牛肉の高騰がある。もちろん牛肉そのものの価格をあげなければいけないのだが、すべてを転嫁するのは相当厳しい。高いものをさらに高くしなければならない。ある程度豚肉・鶏肉にしわ寄せがくるだろう。
国産牛肉の高値の背景には、宮崎県で起きた口蹄疫や、震災により汚染牛が広がったことによる殺処分の影響が大きい。そこに昨年末に起きた注入肉を始めとする偽装事件が拍車をかけている。

ホルシュタイン種や交雑種などの和牛より価格帯の安い牛に人気が集まるが、それこそもともと数の少ない牛種であり、2等級~3等級を中心に高値が続いている。売れない2月になっても強気の相場である。

子牛も不足しており、ホルシュタイン種の飼育履歴を見ても、北海道産の子牛を九州で肥育するケースが多くなってきてる。 また黒毛和牛自体も子牛の価格は高騰していて、1年、2年先の相場も高いものになると思われる。

和牛、揺らぐ安定供給 子牛の取引価格が最高値」 1/16 日経新聞

国産牛肉の相場が高くなると、外国産牛肉を使ってみようかとなる。 輸入商社や卸売業者はかなり在庫を絞っており、販売実績のない新規取引先への手当はなかなか厳しい状況だったようだ。おかげで米国産、豪州産はじわりじわり値上がりしている。

米飼育牛、寒波に震える-牛肉生産減で外食産業のコスト増か  1/14 ブルームバーグ

米国の牛飼育数は6年連続で減少し、牛肉の価格は上昇を続けている。
そこに追い打ちをかけているのが、米国や豪州で起きている干ばつだ。 米国では2011年のテキサス州での干ばつや、12年の中西部での干ばつで飼料穀物価格は高騰している。そこで寒波による飼料や燃料の増加が牛肉業界の利益を圧迫している。

カリフォルニア州では、干ばつで飼料となる干し草が彼、飼料コストが上昇している。その影響を避けるため、生産数の削減が起きている。

干ばつが米加州の畜産業者を直撃-牛肉価格高騰でも恩恵なく」 2/10 ブルームバーグ

オーストラリアでも牛肉価格の高騰が見込まれている。これも干ばつの影響である。

干ばつで豪州の牛肉輸出増加-業者、コスト抑制へ飼育数削減
政府はアメリカやオーストラリアと牛肉の関税引き下げの交渉に入っているが、3月以降の需要期に輸入牛肉価格の高騰は避けられないであろう。

また現在日本国内で水面下で広がっている恐ろしいことがある。豚流行性下痢(PED)が日本各地で発生しているのだ。
この病気は子豚の命を奪う。10日齢以下の子豚の死亡率はほぼ100%だ。

4県5200頭以上死亡 豚の下痢、被害広がる」 1/29 農業協同組合新聞

現在相当数の子豚が死亡しており、2ヶ月、3ヶ月先の国産豚肉相場は高騰しそうだ。多くの飲食店には牛肉よりも豚肉の価格上昇のほうが痛手となるかもしれない。輸入ポークに期待したいところだが、こちらも高値が続いていている。

鶏肉は年末以来の高値が続いている。これも円安や燃料費の値上がりで、なかなか下がる傾向にない。いや、一層厳しいものになるかもしれない。

食肉業界は牛肉、豚肉、鶏肉と全面的なコスト増に迫られている(まあ、ずっとそうなんだけど)。今年はここ10年で一番深刻かもしれない。

飲食店の方は、3月以降、メニュー価格の改定には十分な利幅を確保することをお奨めしておきたい。