量を売ろうとしていたとき、お客さんの顔は見えていなかった。

年末のブログにも書いたのだが、昨年、事業の大幅な整理をした。
今年最後に思うこと。

やめたものとしては、「大手スーパーのテナント」と「楽天モールからの撤退」である。

スーパーのテナントは創業者である祖父の代から続けてきた商売で売上金額も大きい。また楽天はなにもしないがぼちぼち売上が上がっていて、まあ、出店しておいてもいいかなという感じだった。

でもこれらの商売は(私曰く)「軒下ビジネス」だ。 要するに他人のフンドシで商売をするので、上納金を納めなければならない。もちろん、さまざまな商材や経営事情があるので、これらが悪いとは思わない。自分には合わなかった、やる気が出なかった、ということだ。

これらの商売をやめて、半年ほど立つのだが、自分の中でいろいろ思うことがある。 まだまだ経営的には苦しいけど、メモ的に書いておこうと思う。あまり整理できてない話だけど(笑)

1:固定費って本当固定だよね。固定費回収力(貢献利益)をどうアップするか。

売上がある程度あるときには意識しなかったけど、固定費って硬い(笑)。改革から半年ほどしてようやく落ちてきたが、まだまだだ。 人件費も固定費だ。バイトスタッフの人件費ならある程度はなんとかなるが、正社員のそれとなるとそうもいかない。 残る固定費には活躍してもらって、回転率を高めてもらうしかない(笑) 一日3万円かせぐひとには、4万円、5万円とかせいでもらわないと。ここは経営者としての力量が問われるところだろう。安売りでは意味がない。固定費が変わらないなら(もちろん、下げていく努力はするが)、粗利益率アップや変動費率削減で貢献利益率を高めていかなきゃならない。

 

2:どうしてテレビCMやチラシまで入れて安売りするんだろう。

スーパーの話をお客さんとするとき、ほとんどの方が「あそこは高いからいかない」、「品揃えが悪いよね」とかばっかりだ。あのスーパーのビジョンはすごいよね、とか、理念が共感できるから買い物するよ、とか聞いたことがない。名前こそ違えど、どこにいっても同じような商品ばかり置いてる。 ようするに値段でしか判断ができない。 しかもそれを煽るかのように、毎日安売りのチラシとTV広告が流れる。「火曜市」なんて、ゆめタウンだったかイオンだったかわからなくなる。CMあたりの内容もそっくりだ。 どうしてそんな経営になってしまうんだろう。 でも、我々のような小さなお店にとっては朗報だ。その逆をいけばいい。

 

3: 量を売ろうとしていたとき、お客さんの顔は見えていなかった。

スーパーや楽天に出店していたときは、競合他社のことしか考えていなかった。 いつも競合スーパーの取扱商品とか値段とかが気になってた。 商売って品揃え一番、安さ一番だと思っていた。  なので、いろんな商品をなるべくお買い得な価格で置いとく。え、これないの?あの店にはあるのにって言われるのが怖かった。 売れ残りそうなのは値引きすれば、とりあえず売れた。 もちろん、お客様の顔を見ていないわけではなかったけど、どちらかというと「商圏にあった」品揃えと価格という感じで、ものすごい大雑把なものだった。

スーパーをやめるときに一番悩んだのが、この部分だった。やめてしまうと、これまでいろんなお肉を買いに来た街のお客さんたちは、困ってしまうんじゃないだろうか。 どうしたら、いままでどおりにできるか。 でも、それはとりこし苦労だった。 スーパーに安い商品を買いに来ていたお客さんは、小さくなったうちには買い物にこなくなった。引き続きスーパーの新しいお肉屋さんで買い物を続けているようだ。 思い切って品揃えを絞ることができた(笑)

でも、小さくなって改めて分かったのが、こんな小さなお店でも、引き続き懇意にしてくれるお客さんがいるということ。いやお客さんというと失礼かもしれない、友達だ。 買い物に来てくれるひとの顔と名前がわかる(まだちょっと一致してない方もいるが)。世間話をしながら、私のオススメを購入してくれる。単価のことなんて文句いわれたことはほとんどない。カフェのお客さんも多く、おかげ様でいつも賑やかなお店になってる。 こういった方々を大切にこれからも商売を続けたいと思う。

 

ネットショップは面白いことに意外とお客さんの顔が見えてくる。リピーターさんがいつも同じようなタイミングで同じような商品を買っていく。メールのやりとりを通して、どんな仕事をしていて、どんな家族構成なのかがわかってくる。 今年は月商300万円を目指すが、おそらくスタンスは変わらないと思う。そうならないように、仕組みも整えた。
売上は徐々にあがっているが、転換率も上がっている。自分の中の勝手な指針で「売上があがっても、転換率が下がったら意味が無い」と決めている。そんな縛りが意味あるかわからないけど、とりあえずは安易な広告で新規さんを見つけてきても、リピーターさんになりにくい(当店では)。このスタンスは今後も維持していきたい。売上の伸び率はものすごく小さいけど。
転換率という指標

 

店を小さくして、やるべきことを絞るとき、いろんな心配事が頭を駆け巡った。ある禅僧さんいわく、「その心配事は9割起きない。」らしい。 でも本当に9割は起きなかった。あとの1割はこれからやるべきことばかりだ。固定費の増大や原価率の悪化、そして、品揃えを増やすことによる在庫増加は、経営者の心配事からくるのかもしれない。あとは経営者の見栄だろう。

回転寿司業界よ、もう諦めなさい。子供に正しいものを教えて欲しい。

ようやくメスが入るのか。

消費者はもちろんそうだが、肉業界に携わる人々の思いはまた特別かもしれない。

「メニュー表示厳密化でシャケ弁当が「ニジマス弁当」になる?」
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140202-00000015-pseven-soci

昨年来の食品偽装問題で、消費者庁が表示の厳密化に動いている。
特に飲食店でのメニューがやり玉に上がっている。

ようやく、回転寿司の表示にもメスが入ることになりそうだ。

もちろん業界団体は激しく抵抗している。

「メニュー名が定着しており、(代用魚の名前の表示だと)消費者が混乱する」」

なにをいっているのだろう。

問題は「代用魚」だ。

上記の記事で言えば、鮭は、実はニジマスだ。サーモントラウトだ。

一言いっておこう。

「代用魚が許される業界で、本物なんか使われていないでしょうよ。それは偽装ですよ。」

すき家(すき家ごめん)で朝食には鮭定食がある。 この鮭定食の鮭に一瞬でも本当の鮭が使われているだろうか。
(もしかしたら一匹分くらいは使われているのかもしれないけど)。

これが「ニジマス定食」になってしまったら、やはり消費者はちょっとひくだろうという気持ちはわかる。

適正な表示をすれば外食業界は大変な局面を迎えるだろう。でもやってほしい。子供の未来のために。
子供の未来のために
私の五ヶ月の次男がやけに反応をしめした「ホタテ」は本当にホタテであってほしい。でもそうじゃないなら、そう表示して、きちんと理解をした上で食べさせてほしい。

 

サーモンのにぎりが、実は「ニジマス」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
サーモンにぎり

 

ブリのにぎりが、実は「イボダイ」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
ぶりにぎり

 

大トロのにぎりが、実は「ガストロ」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
マグロにぎり

 

鯛のにぎりが実は「テラピア」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
鯛にぎり

 

ネギトロが実は「アカマンボウ」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
ネギトロ

 

合鴨のにぎりが実は「アヒル」かもしれない。でもいいじゃないか(写真はイメージです)。
合鴨にぎり
(あ、これはうちも問題だ)

言いたいことはこうだ。

代用魚というのは、「足りない時に使うかもしれない」とかじゃないでしょ。ずっとその代用魚つかってるんでしょ?ホンモノ使ってないんでしょ?じゃ、その代用魚の名前をきちんと表示しましょうよ。

ということ。併記からでもいいじゃない?

月刊セーノ!ともつ鍋と学長

地元に「セーノ!」という月刊誌がある。
創刊(2007年だったかな?)以来からとてもお世話になっている。最近広告は買えてませんけどね。
編集長のF氏がとても優秀な方で、FBの投稿もとても楽しい。高校の一個上の先輩で、当時は写真部に所属していた。
高校生当時に「写真部」に所属していたひとなんて、いま考えれば、なんてセンスの良い集団だったんろうと本当に関心する。
私はラグビー部にいたので(なぜか驚かれるが)、実は「文化部なんて糞食らえ」タイプだった。
でもいまになって思えば、なにかキラリとするセンスをお持ちの方々が多かったんだろうなあと思う。結局私もカメラにはハマってしまった。

そのF氏のもとに、さらに優秀な営業だったO氏が移ってきた。そのO氏が年末に企画を持ち込んでくれた。それが下の写真。県内の飲食店さんなんかのお持ち帰りセットの紹介みたいな特集だ。
ちょうど新アイテムとして開発した学長独自調合のオリジナルミックススパイス付きもつ鍋セットがあった。ホルモンは当店が1頭分を仕入れてブレンドしたミックスホルモンだ。それに学長が自ら調合したスパイスがつく。
学長のオリジナルミックススパイス付きもつ鍋セット
これの反応が抜群、大当たり。1ヶ月以上たってもセットの注文が入り、またホルモンが美味しかったと、リピートしてくれる方が多くいる。セーノ!さんのが取り上げてくれなかったら、いまだほそぼそと売っていたことだろう(笑) ついでに、当店にはマクミやタン、テールやホホ肉などがフレッシュであることも知っていただき、うれしい限りである。

セーノ!さんには以前にも特集を何回か組んでいただいた。直前のものは、下の画像。
学長の白熱肉教室
おいしいお肉の選び方という、それは本一冊くらいかける内容のものを見開き2ページでコンパクトにまとめてくれた。
とりあえずインパクトのある写真ということで、私は白衣に包丁2本持たされた(笑)
この冗談みたいな写真が実はF氏の深淵なる仕掛けだったということにのちのち気付かされることになる。

というのは、最近になって「影響力の武器」(ロバート・B・チャルディーニ)という本を読み始めた。
その6章のテーマが「権威」。
人間ってゆうても権威には盲目的に従ってしまうよね、という話なのだが、その権威に必要なのが肩書、服装、装飾品の3つらしい。
ここではっと気づいた。F氏にとってもらった上の写真。

肩書:九州食肉学問所 学長
服装:白衣
装飾品:両手に包丁

で、なんと形はばっちり(笑) あとは、中身の充実か。

しかしF氏おそるべし。商品だけでなく、人もプロデュースしてしまうとは。