おっきくて魅力的なお尻がステキ ランイチ

九州食肉学問所です。

ランプステーキといえば、赤身好きの方にはたまらないステーキだと思います。
またイチボという言葉も最近TVに登場します。
このランプとイチボは、基本的にランイチという部位として流通しています。
ランイチは簡単にいえばお尻です。プリプリのもちもちです。

今回はこのランイチの商品化についてです。

*今回の動画は前回のサンカクバラと同日撮影なので、基本テロテロです。ご了解のうえ、ごらんください。

ランイチ その1

牛モモ肉は大きくウチモモ、ソトモモ、シンタマ、そしてこのランイチに分割されます。
このランイチはまたランプとイチボに分割されます。ランプはお尻です。
サーロインとつながっていることもあり、モモ肉の中では1.2を争うやわらかさです。ランプステーキが有名です。ローストビーフもこの部位で作るととてもおいしいです。
イチボはソトモモとつながっている部位なので、若干固めですが、イチボステーキなど付加価値の高い商品になります。
まずは体表側の筋・脂肪を除去して、ランプとイチボを分割していきます。

ランイチ その2

まずはランプから商品化していきます。
ランプの体内側には複雑に筋(ランカブリ)がついているのでこれをキチンと成型していきます。
そしてネクタイ(動画中では間違ってランカブリといっています)をはずします。
次にランボソとランナカを筋膜にそって分割していきます。ランボソはもっともやわらかく、そのまま1.5cm以上の厚さでランプステーキを取ります。
ランナカもやわらかいのですが、やっかいな筋があります。これを除去して、ミニステーキなどを作ります。

ランイチ その3

次にイチボを商品化していきます。まずランプとの分割面に厚いシルバースキンがついていりので除去していきます。 
ソトモモとの切断面は若干固いので、しゃぶしゃぶ用の切り落としにします。今回は焼肉用に冊取りしていきます。
イチボの三角形の先端部分は、筋肉繊維の方向が変わるので、それに沿って冊取りしていきます。イチボステーキを商品化できます。

カルビの王様 サンカクバラを知らずして肉を語るなかれ

さてナカバラ、アトバラに続き、今回はサンカクバラです。
牛バラはマエバラ、ナカバラ、アトバラと3つの部位に大きく分かれます。
このサンカクバラは、マエバラの肩ロースとナカバラの間についている4-5Kgくらいの部位です。

焼肉屋で特上カルビといえば、多くはこのサンカクバラです。
やわらかい極上のお肉が、厚い脂肪と固い筋のなかに隠れています。
値段的にもとても高価になります。

さて、今回も動画でお届けします。

あ、今日は寝ぼけてたのと、包丁を研ぎ忘れていたので、全般的にヘロヘロです!

サンカクバラ その1

サンカクバラはマエバラというバラ肉についているブロックです。
今回はすでにマエバラからブリスケと呼ばれる部位を除去しています。
サンカクバラは画像手前がナカバラとの切断面、右側が肩ロースとの切断面です。

[動画ありません]まず体内側からゲタカルビをはずしていきます。また表面に残った筋を取り外します。

体内側のスジと脂肪を除去したら、ひっくり返して、体表側の処理に移ります。

サンカクバラ その2

体表側の脂肪とシルバースキンと呼ばれる固い筋を除去します。サンカクバラは厚切りのカルビになるので、このシルバースキンをきちんととってください。
その後手前から大き目のカルビ冊を2つ取ります。のこりの部分は肩ロースサブトンとの切断面です。カルビというようりはロースの食感と味のするカルビ冊が取れます。

サンカクバラ その3

カルビ冊を取ったら、焼肉用にカットしていきます。画像手前がもっとも霜降りの入る部分です。真ん中は、すこし赤身がかってきます。販売単価やお客様の注文に応じて組み合わせて盛り付けてください。

次回はこのサンカクバラを利用して、原価計算と商品作りの基礎をご紹介します。

畜産の現場で起きていること。

宮崎県で発生した口蹄疫が豚肉にも広がりかなり、その影響はかなりシビアになってきています。
宮崎を拠点とした畜産加工業者はほぼすべての原料入荷が止まり、なかば営業休止状態。
関西・関東を拠点とする業者が、このチャンスをねらって、必死の営業活動。

安定した量と質の宮崎県産の肉が流通していないため、このゴールデンウィークに焼肉用の原料が手に入らない状態です。
当店は小規模で生産者を指定して1頭買いをしているので、影響はほとんどないのですが、量販店など特定の部位のみを大量に扱うお店への影響は深刻でしょう。



(農林水産省畜産統計H21年度より勝手に拝借)。

上記グラフは国産牛の飼養戸数・頭数の推移をグラフにしたもの。
肉用牛に至っては飼養個数が激減するなかで、全体の頭数は増加減少にあります。つまり一戸あたりの飼育頭数が増えていて、大規模化しているということです。
口蹄疫(空気感染する恐れあり)などがある農家で発生したときの影響が、年々大きくなっているということです。
しかも九州は日本で生産される肉用牛のほぼ半分(44.6%)をしめ、そのほとんどが、宮崎・鹿児島で生産されています。
農家の大規模化と生産地の集中が進んでいるため、応じて問題発生時のリスクが激増しています。

多くの農家が一昨年の飼料価格高騰や販売不振により廃業する中で、また大手のミートパッカーが生産地の集約を推進しています。
問題の根は深く、解決する方法がない。
とりあえず今はじっと待つばかりです。