なぜあの偽装はおきたのか。

皆さんもご記憶に残っていると思われる代表的な産地(格付け偽装)に、

1:船場吉兆偽装事件(2007年)
佐賀牛にも関わらず但馬牛・三田牛と偽っった産地偽装

2:飛騨牛偽装事件(2008年)
規格外の牛肉や馬肉などを飛騨牛と偽って偽装し販売

3:但馬牛産地偽装事件(2009年)
ある焼肉店が実際には20%程度しか但馬牛を使用していなかったため公正取引委員会から排除命令

*ミートホープは論外。

上記に出てきた但馬牛(兵庫)・三田牛(兵庫)・飛騨牛(岐阜)をはじめとして、有名な松坂牛(三重)、
米沢牛(山形)、 前沢牛(岩手)、近江牛(滋賀)などが黒毛和牛の最高級品として有名なブランドです。

全体 肉用種 乳用種
頭数 2,922,200頭 1,889,200頭 1,033,000頭
地域別百分率
北海道 18.30% 9.83% 33.79%
東北 14.28% 16.37% 10.45%
北陸 0.83% 0.60% 1.26%
関東・東山 11.57% 7.62% 18.80%
東海 5.10% 3.95% 7.20%
近畿 3.17% 3.68% 2.23%
中国 4.81% 4.34% 5.68%
四国 2.42% 1.51% 4.08%
九州 36.64% 47.68% 16.45%
沖縄 2.89% 4.41% 0.12%

上表は地域別の肉用牛の飼育頭数です。
これをさらに各県別の飼育数比率で見ると(肉用種のみ)
岩手 5.20%
山形 2.31%
岐阜 1.30%
三重 1.66%
滋賀 0.61%
兵庫 2.28%

となります。
しかも(たとえば)兵庫で生産されるすべての黒毛和牛が、4-5等級ではないですから、実際にはもっと少ないはずです。鹿児島(18.52%)や、宮崎(14.11%)、佐賀(2.59%)をはじめとする九州は肉用種のほぼ50%を占めるのですから圧倒的に少ない数字といえます。

これが偽装の起きた背景です。
有名ブランドで高価なのに供給量が極めて少ない。
こうした問題はもちろん肉だけの問題ではありません。
ですが、日本人に特有といっても過言ではない「産地主義」がもたらした問題かもしれません。