宮崎 口蹄疫 制限解除へ。

本日午前0時、宮崎市の家畜の移動・搬出制限が解除され、同県内における制限がすべて解除されました。
住民のイベントや外出の自粛を求めた非常事態宣言も同時に解除されています。

終息宣言まで気を抜くことはできませんが、正常化へむけて大きく前進したといえます。

日本経済新聞7/20によると、
・殺処分された牛は6万8千頭、豚は22万頭。
・県内で飼育された牛・豚の4分の1が消失。
家畜処分に伴う損失額は800億円以上と試算されているようです。

また影響は畜産農家にとどまらず、観光・企業収益に深い爪あとの残しています。
復興への道のりはまだまだ遠いようです。

移動制限解除となると、これまで出荷できなかった牛・豚が市場に出回り始めることになります。
牛肉について、すそモノなどは価格が安定してくることが期待されます。高級部位は価格崩壊が加速することになるかもしれません。
豚肉も高値が続いていましたが、一気に値崩れを起こしそうです。
おまけに口蹄疫に関係のなかった鶏肉もモモ肉を中心に価格が一段と下落しています。
畜産業界の経営には厳しい環境が続きそうです。

牛肉輸出 口蹄疫がブレーキ 拡大基調…取引停止で暗雲

牛肉輸出 口蹄疫がブレーキ 拡大基調…取引停止で暗雲
Yahoo News

以下抜粋
「日本が家畜衛生に関する国際機関である国際獣疫事務局(OIE)認定の「清浄国」から「非清浄国」に転落したため。」

「個別協議で香港とマカオについては取引が再開されたが、「清浄国」への復帰を取引条件とする主要輸出先のベトナム、米国、シンガポール、マレーシア、カナダ、アラブ首長国連邦との取引は停止したまま」

「牛肉の輸出総量は、・・・・、09年には06年(74トン)の約8倍に相当する565トンに拡大。このうち、取引が停止している主要6カ国の合計は、輸出総額(37億7300万円)の8割を占める。」

独立行政法人農畜産業振興機構によると、

国産牛肉の消費量(出回り量) 年間400万トン弱。
この数字からみると、輸出量はまったくたいした規模ではない。
しかしながら、国内の牛肉需要が弱いなか、海外市場への輸出は魅力的だったが、今回の口蹄疫で計画が見事にくるってしまったようです。

日本の牛肉輸出は紆余曲折。
同機構によると、
「日本では、2000年3月に口蹄疫が発生し、また2001年にBSEが発生し、多くの国が日本からの牛肉輸入を中止した。その後、口蹄疫について清浄化が宣言され、BSEについても状況が改善されたが、一部の国では日本からの牛肉輸入を中止したままである。2005年末に米国が輸入を再開し、香港も2007年5月に輸入を再開した。また、2008年1月にマカオ当局が日本産牛肉の輸入解禁を公表した。」
前途多難です。

ステーキの王様 牛ヒレ まがいものにご注意

普段見向きもされないが、結婚式のシーズンやクリスマス、年末年始と、人気のでてくるのが、「牛ヒレ肉」。

今日はこの牛ヒレ肉をご紹介します。
サブタイトルが「まがいものにご注意」となっています。こちらは最後に。

牛ヒレ肉はサーロインの内臓側についていて、ほとんど運動することなく成長した赤身肉です。
きめが細かく、やわらかいお肉です。
脂肪が少ないので、健康にも良いお肉です。

さて下の写真は牛ヒレ肉のブロックです。左側が頭、右側が尾です。
牛ヒレ1

このヒレ肉の筋や脂をきれいに引いていったものが下の写真です。
牛ヒレ2
次の写真で説明する「テート」と呼ばれる部分は脂と筋がお肉の間に埋まっています。赤身を傷つけないようにきちんと処理をします。
(*サイドマッスルはつけたままにしています。)

次にヒレを大きく3分割します。
牛ヒレ3
この三分割で、左から、「テート」、「シャトーブリアン」、「フィレミニヨン」となります。
これは名前が変わるだけでなく、やわらかさ、見た目が大きく異なるためです。
シャトーブリアンは皆さんも聞いたことがありますよね。

一般的には、
「シャトーブリアン」>「フィレミニヨン」>「テート」となります。
値段もこの順で安くなっていくのが普通です。

さてちょっとマニアックな分割ですが、
牛ヒレ4
シャトーブリアンはさらに「シャトーブリアン」と「フィレ」に分かれます。
「フィレミニヨン」はさらに「トゥルネド」と「フィレミニヨン」に分かれます。
ただしこちらの5分割はあまり一般的ではありません。

牛ヒレ5
上記写真はシャトーブリアンの断面です。適度な霜降りでとても美味しそうですね。

九州食肉学問所では、「シャトーブリアンステーキ」と「テート・フィレミニヨンのミックスステーキ」の2つを商品化しています。
お求めの際には表示をよくご確認ください(まあ単価も違いますけどね)

さてここからがサブタイトルの「まがいものにご注意」について説明していきます。

実は牛肉にはこのヒレ肉にそっくりな安い部位があります。
「とんび(とうがらし)」と呼ばれる部位です。ウデ(肩)肉にくっついている部位で単品で買えば、ヒレの半分くらいの値段です。
通常は肩焼肉用や、タタキに使います。

下写真がとんびです。
牛とんび1
唐辛子の形にもにているので「とうがらし」とも呼ばれます。

周りの筋・脂を引いていきます。
牛とんび2

とんびはお肉の真ん中に一本筋があるので上手にこれを引いていきます。
牛とんび3

下写真は筋を引き2分割されたとんびです。
牛とんび4
この時点ですでにヒレ肉に似ていますよね。

この下側の部分をカットしていくと、ヒレステーキにそっくりのステーキが取れます。

食べてみるまでは判断がむずかしい場合もあります。
またランプのランボソもカットの仕方ではヒレ肉に見た目そっくりです。

まあこんなことするお肉屋さんは存在しないことを祈るばかりです。

それでは。