外国産を知らずして、嫌うなかれ!

本日は国産牛と外国産牛の名称・品質の違いについてです。
現在日本のテーブルミートとして主に流通しているのは豪州産(オーストラリア産)いわゆるオージービーフです。かつてアメリカ産牛が日本のテーブルミートの主役でした。しかし、BSE問題の対応の遅れ、オージービーフの肉質の向上により、その座を開け放してしまいました。

下記表は、日本の部分肉名称をもとに、豪州産とアメリカ産の名称を一覧にしています。
あまり、一般消費者には関係のない話ですがとりあえず。

  部分肉 豪州産 US産
ヒレ・ロース ヒレ tenderloin tenderloin
リブロース cuberoll ribeyeroll
サーロイン striproin striproin
肩ロース クラシタロース chuckroll chuckroll
ネック    
前バラ(肩バラ) ブリスケ point.e.b brisket
三角バラ chuckrib chuckrib

中バラ

ナカバラ shortrib shortrib
カイノミ flapmeat flapmeat
ゲタ    

後バラ

アトバラ navel.e.b shortplate
ササニク frankmeat frankmeat
インサイドスカート insideskirt insideskirt
ウデ ウワミスジ

crod

 
シタミスジ  
カタサンカク shouldercrod
コサンカク
ニノウデ
トウガラシ chucktender chucktender
内モモ オオモモ

topside

topround
コモモ
外モモ シキンボウ

silverside

roundeye
ナカニク bottomround
ハバキ・センボン
シンタマ(テンマル) シンシン

thickfrank

chip
カメノコウ nuckle
トモサンカク

triangle

triangle
ランイチ ランボソ ramp topsirloinbat
ランナカ
イチボ
スネ マエスネ

shank

shank
トモスネ

*カブリ等端材は上記表からは除外しています。
アメリカ産の中バラに相当するショートプレートは、「吉野家」で一躍有名になりましたね。

外国産牛肉は国産牛にくらべて大雑把な印象を受けます。
この大雑把さは格付けも現れています。下記に豪州産の格付けを一覧にしました。

豪州産牛格付け
牧草肥育 穀物肥育(grain-fed)
Glass short middle long
主に牧草のみで育つ日本の1等級に相当する肉質 牧草肥育後、出荷前120日間穀物で肥育。
日本の1等級に相当する肉質
牧草肥育後、出荷前150-180日間穀物で肥育。
日本の2等級に相当する肉質

牧草肥育後、出荷前200間穀物で肥育。
日本の3等級に相当する肉質

豪州産は、日本産の霜降りによる格付けとは違い、穀物による肥育日数で格付けが決まります。
アメリカ産もそうですが、産地や畜種による区分けを基本的にしません。
Glassの牛肉にも思いがけず霜降りが入っているものや、Longなのに霜降りがあまり入っていない場合もあります。 またまれに、肩ロースの箱の中に、ウデ(クロッド)が入っていたりすることがよくあります。 「とりあえず数合わせとけ」っていう感じです。
結構いい加減ですね。まあ日本人(特に行政)が細かすぎるということもあります。だけど日本の消費者はそこまで肉のことを知りませんよね。

国産と外国産の牛肉のもうひとつ大きな違いは、牛の「サイズ」です。
たとえば肩ロースだと国産で通常16kgほど。オーストラリア産は大きくても7-8kgです。流通している部分肉のサイズは2倍も国産牛のほうが大きいのです(一例)。 これは牛そのものの種類が違うというよりも、牛肉生産に対する考え方の違いがでるのでしょうね。

参考までにアメリカ産の格付けを。ただし、まだちょっと勉強不足なので未完成状態にしておきます。

アメリカ産牛格付け
pirme choice undergrade
select standard commercial utility cutter canner
               

アメリカ産牛は現在choiseとundergrade(アングレ)という格付けが日本に輸入されており、primeは輸入されていないません。輸入禁止以前の価格帯よりは割高となっており、またBSEへの対応の遅れから日本の消費者には敬遠される傾向があります。
上記表については詳細が判明次第、修正します。

たまたまタマタマのような形 シンタマ

今日はシンタマの商品化をご紹介します。
シンタマは地域によってはマルモモと呼ばれます。
ラグビーボールのような形をしているからです。
モモ肉です。

シンタマには、有名?なトモサンカクという霜降りの入った部位が
くっついています。きちんと商品化すれば、利益率UPがねらえます。

それではどうぞ。

シンタマ その1

まずシンタマの体表側の筋・脂肪を除去します。
シンタマ本体とトモサンカクの切れ目が見えてくるので、そこに包丁を入れてトモサンカクを切り離します。
シンタマ本体からさらに筋・脂肪を除去し、次にシンタマをシンシンとカメノコウに分割します。
シンシンはカメノコウよりも若干淡い色をしたブロックです。この分割は大変難しいです。ゆっくり包丁をいれ、筋にそって分割していきます。
のこったカメノコウはそのままモモ切り落としにします。ただし、モノがよい場合は、カブリ(端材)を取り除き焼肉カットしていきます。

シンタマ その2

次にシンシンとトモサンカクを商品化していきます。まずはシンシンです。
シンシンは肉色も明るく、ステーキなどが取れるやわらかい部位です。ただし、肉の真ん中に一本筋が通っているのでこの筋にそって、2分割していきます。
分割されたシンシンの厚みのあるほうはステーキに、薄いほうは焼肉用にしていきます。
かつて関東圏ではこのシンシンがロースと呼ば。。以下略。

シンタマ その3

最後にトモサンカクの商品化です。
トモサンカクはモモ肉の中でも1、2を争う付加価値のある部位です。霜降りもきれいで 高く売れます。
まず表面の脂肪・筋を除去していきます。きれいに除去できると筋肉繊維の流れがわかりますので、その流れにそって冊取りしていきます。

今日はこの辺で。

生協 続報「廃棄すべき豚肉を販売したコープ、新たに5店 」

九州食肉学問所です。

以前ブログの記事で書いた、
生協 「酸っぱい」カツ重…売れ残りトンカツ肉転用
の続報がでたもよう。

日本経済新聞社「廃棄すべき豚肉を販売したコープ、新たに5店
その日仕入れた生肉のパン粉付け商品の消費期限がどうして当日限りなのかがいまだにわからない。
生肉のパン粉付けが次の日にすっぱくなるほど痛むのは腑に落ちない。
そもそも仕入れにも問題があるのではなかろうか。