肩ロースを扱えればもう怖いものなし その1

牛肉には大きく「まえ」と呼ばれる部位があります。

この「まえ」には、
・カタバラ(マエバラ)
・カタ(ウデ)
・カタロース(クラシタ)
・ネック、マエスネ
が含まれます。

カタという単語は漢字で書くと「肩」なのですが、音が「硬い」にも通じるのであまり良いイメージに聞こえません。
なので当店ではカッコ内の別称を主に使用しています(ずるいねぇ)。

さてこの「まえ」。
脂や繊維の交わりが複雑のため、サーロインやモモ肉などに比べると、若干安く流通しています。
スーパーのスタッフにはなかなか使いこなせない部位です。
また運動をする部位なので、やはり「硬め」です。
しかしながら、きちんと筋肉繊維毎に分割し、筋・脂をひいて商品化すると、付加価値の高い商品作りができます。

肩肉(ウデ肉)については、すでにご紹介ずみです。

今回は、「肩ロース」の商品化を見て行きたいと思います。
動画を加工する時間が最近ないので、ちょっとずつ小出しにしていきます。

肩ロースは「マエ」に分類されますが、同時にロースの仲間です。
・サーロイン
・リブロース
・肩ロース
ロース3兄弟と勝手に呼んでいます。

この肩ロース。
最近TVや雑誌でも登場する「ザブトン」と呼ばれる貴重な部位が取れます。非常にやわらかく、ジューシーで味わいのあるお肉です。
そして若干硬くなりますが、「マンジュウ」、「シン」と呼ばれる焼肉用商材が取れます。
おまけにロースステーキも商品化できます。
冬になれば、すき焼き、しゃぶしゃぶなどにも濃厚な味のスライスが商品化できます。

万能です。
これ一本あれば、なんでも出来ます。

さて実際に肩ロースを捌いていきます。

肩ロースは、へたに捌くと歩留まりが悪く、商品化が難しい部位です。
ただし相場は安いので、きちんとすれば非常に利益率の高い商品化がおこなえます。
今回は焼肉用をおもに商品化していく前提で捌いていきます。
最初に、カブリ・かたコブを取り除きます。リブロース側からザブトンの始まるところまでは、繊維のかみ具合が複雑なので、ステーキやスライスの商品化をしていきます。
そして見えてきたザブトン、マンジュウ、シンを商品化していきます(以降次回)。

オーストラリア米産牛肉が日本で攻勢豪産に影響も農水NNAASIA

オーストラリア米産牛肉が日本で攻勢豪産に影響も農水」NNAASIA

「牛海綿状脳症(BSE)発症で落ち込んでいた米国産牛肉の日本への輸入が、このところ急速に回復している。最盛期の水準には遠く及ばないが、直近の5カ月間で昨年と比較して4割以上伸びた。これに対し、豪州産は約5%減少した。日本は豪州の牛肉生産者にとって最大の輸出市場。米国産復活の影響が懸念されるところだ。」

たしかに、この7月に入ってUS産の牛タン、ハンキング、アウトサイドについては30%~40%程安く入荷しています(一部輸入元のキャンペーン価格も入ってますが)。
とくにハンキングなどは、100g100円の小売値でそこそこの利益も確保できそうです。

オーストラリア産の問題として、値段以前に、品質が不安定であることがあげられるのではないでしょうか。
アウトサイドや牛タンは、ある時は良くて、次は期待はずれといったことが過去に何度もありました。
チャックロールなども非常に不安定です。
小売業メインの肉屋としては扱いづらいところです。

これに反して、US産はかなり品質が安定していると思います。しかも価格が下がってきているとなれば、当店の手当てもUS産にシフトせざるを得ない状況です。
また若年層の間では、予算制限の中で、US産を選ぶことに抵抗がなくなってきている感じを受けます。

かつて日本人が慣れ親しんだUSビーフ。復活なるか?

あか牛をたたいてみたら・・・・

とてもおいしいタタキができた。

あか牛 たたき

牛タタキ。
ローストビーフなどにもっとも適している内モモを使用しています。
赤身好きにはたまりません。

1皿3-4人前で2000円

にんにくと塩こしょうのみで下味をつけ、まずは強火で表面すべてをこんがり焼きます。
その後は、弱火でふたをして蒸し焼きに。
簡単で、おいしいタタキが出来上がりです。

さらに牛の歯ごたえを楽しみたい方は、「カッパのたたき」。
こちらは後日ご紹介します。