衝撃!!霜降りのようで霜降りでない。成型肉の秘密

霜降りたっぷり黒毛和牛サーロインステーキ。
みなさんもテレビや雑誌で、あのきれいな霜降りをみて、おいしそうとおもったことでしょう。
でも半端なく高いですよね。A5クラスになると1枚200gのステーキが安くても3000円以上はします。

国産牛肉は高い。オーストラリア産は安いが固い。

そこで業界の努力の結果生まれたのが、【成型肉】というものです。

成型肉は、霜降りのサーロインステーキをイメージして、一般的には、オーストラリア産の赤身肉に、国産の牛脂を針で注入するか、結着材を使って赤身と脂身をくっつけたものです。
前者を注入肉。後者を結着肉と呼びます。

そこで今回は注入肉を皆さんにご紹介します。
☆九州食肉学問所は成型肉の取扱いを一切していません。
ブログ写真撮影のためだけに仕入れしました。

下記の写真は注入サーロイン肉のブロックです。
注入サーロイン1
いかにも霜降りたっぷりの美味しいお肉に見えます。
でもプロがみれば、一発で注入肉と分かります。

表示を確認すると、
注入サーロイン2
牛脂注入加工牛サーロインとあります。ものものしいですね。
正式名称は味付け牛肉(加工肉)のようです。
オーストラリア産の牛肉(もとがサーロインであったかは不明)に牛脂をはじめとしてさまざまな添加物が入っているのが分かります。

ウィキペディアで「成型肉」を調べると
「成型肉(せいけいにく)は、くず肉や内臓肉を結着剤で固め、形状を整えた食肉のこと。 結着させるため、主に牛乳由来のカゼインナトリウムやカラギーナン、アルギル酸塩などが使用されている。
カゼインナトリウムが使用されている場合は、牛乳アレルギーの人は注意が必要である。」
とあります。

こんな風にかかれると成型肉が存在すら許されない悪いものに取られがちですが、私は必ずしもそうは思いません。
だた、このお肉があたかも国産牛サーロインだと誤解を与えるような表現・表示で販売されている場合は問題です。
消費者が成分表示など、きちんと理解したうえで購入することが大切だと思います。

次は実際にステーキにカットして焼いてみましょう。
注入サーロイン3
すこし薄めのステーキ(厚さ約1cm)でスライスしたところ1枚129gありました。

フライパンで焼いてみます。
牛サーロイン注入4
この写真をパッとみただけではこれが成型肉かわからないですね。
しかも牛サーロインにありがちなところで肉が割れています。
ただ気にになるのは、脂(?)がにじみ出ては蒸発していくという点です。

牛サーロイン注入5
実際調理後の重量は89g。調理前には129gだったので、70%ほどになっています。
やはり大量の肉汁が飛んでいってますね。

肉自体がからからになっていないのか気になるところです。
ナイフを入れてみると肉汁があふれ出ます。
これが注入肉の威力なのでしょうか?
牛サーロイン注入6
カットする弾力をみてもやわらかいお肉の感じです。

口に含んでみると、ステーキとゆうよりは、ハムみたいな感じです。ところどころ筋っぽく歯にあたります。
肉汁そのものは味は悪くないようです。臭みはありますが、少ないです。
ステーキソースなどでごまかせば、問題ないかもしれません。

これが100g200円くらいで売られているなら、相場といえるかもしれません。この値段以上で売られている場合は、私なら迷わず外国産の生肉を選ぶでしょう。(*あくまでも私個人の見解です。)

結着肉のほうも、「やわからカルビ」や「やわらかサイコロステーキ」といった名称でスーパーやネットショップで売られています。
こちらはまたの機会にご紹介します。

繰り返しますが、成型肉が適正な表示と価格で販売され、消費者がきちんと納得して購入することが大切です。
知らなかったばかりに、必要のない添加物を取り込むことになります。
十分な注意が必要ですね。

牛肉輸出 口蹄疫がブレーキ 拡大基調…取引停止で暗雲

牛肉輸出 口蹄疫がブレーキ 拡大基調…取引停止で暗雲
Yahoo News

以下抜粋
「日本が家畜衛生に関する国際機関である国際獣疫事務局(OIE)認定の「清浄国」から「非清浄国」に転落したため。」

「個別協議で香港とマカオについては取引が再開されたが、「清浄国」への復帰を取引条件とする主要輸出先のベトナム、米国、シンガポール、マレーシア、カナダ、アラブ首長国連邦との取引は停止したまま」

「牛肉の輸出総量は、・・・・、09年には06年(74トン)の約8倍に相当する565トンに拡大。このうち、取引が停止している主要6カ国の合計は、輸出総額(37億7300万円)の8割を占める。」

独立行政法人農畜産業振興機構によると、

国産牛肉の消費量(出回り量) 年間400万トン弱。
この数字からみると、輸出量はまったくたいした規模ではない。
しかしながら、国内の牛肉需要が弱いなか、海外市場への輸出は魅力的だったが、今回の口蹄疫で計画が見事にくるってしまったようです。

日本の牛肉輸出は紆余曲折。
同機構によると、
「日本では、2000年3月に口蹄疫が発生し、また2001年にBSEが発生し、多くの国が日本からの牛肉輸入を中止した。その後、口蹄疫について清浄化が宣言され、BSEについても状況が改善されたが、一部の国では日本からの牛肉輸入を中止したままである。2005年末に米国が輸入を再開し、香港も2007年5月に輸入を再開した。また、2008年1月にマカオ当局が日本産牛肉の輸入解禁を公表した。」
前途多難です。

牛肉の平均消費が9年で約30%減る

あらゆる平均.com
牛肉の平均消費が9年で約30%減る

統計情報はどこまで正確かわからないけど、まあ実感としてこのくらいは減っているかなぁ。
だけど消費減少による減収より、国産志向による原価上昇および消費税の内税表示化のほうが、経営を直撃してますけどね。