【口蹄疫】牛豚頭殺処分20万頭超 10キロ圏内が対象 政府が対策決定

皆さんもTV報道などですでにご存知だとは思いますが、宮崎の口蹄疫の被害が拡大し、ついに殺処分という事態になってしまいました。

【口蹄疫】牛豚頭殺処分20万頭超 10キロ圏内が対象 政府が対策決定」(SankeiBiz)

以前のブログでも書いたように、九州は日本の食肉用牛飼育頭数の36.6%を締める一大生産地。肉用牛だけみると、47.7%が飼育されている。このほとんどが宮崎・鹿児島の2県です。
このまま被害が拡大すれば、本当に日本の肉牛生産は壊滅となります。

今回の殺処分は、むろんもろ手を挙げて歓迎できることではありません。
ただこれ以上被害が広がらないよう祈るばかりです。

肉屋の会計はどうなってる?

前回のブログのなかで、売上総利益や売上総利益率ということばを、
とりあえずみんなご存じのこととして話を進めました。

会計には多くの方に苦手意識をもたせる理由である専門用語がたくさんあります。専門家に「利益」といっても「どの利益?」となってしまい、話が進みません。

この専門用語を理解する前に、かならずおさえておきたい概念があります。
これを理解しておくと、会計の理解がぐっと楽になります。

STOCK(ストック)とFLOW(フロー)です。

会計のなかにもいろんな専門用語(勘定科目など)がでてきますが、ざっくりいってしまうとこの
STOCKとFLOWに集約されます。
また、この2つの概念は経営分析をおこなうときにも重要です。

STOCKとは、よく現場で「それ冷蔵庫にストックしといて!」とか、「まだストックある?」
など、在庫といゆう意味で使われています。会計では在庫ではなく、なんか貯まった(溜まった?)ものという意味です。

対して、FLOWは、流れという意味です。

良くたとえられるのが水道水とコップです。

水道の蛇口をひねると水がでます。この水がコップに注がれる量がフローです。
そしてコップに貯まった水の量がストックです。
はじめコップに水がなければ、STOCK=FLOWですが、
コップに水があったら、注がれた量を足したものが、STOCKになります。

計算式で説明するとこうなります。
STOCK(t+1)=STOCK(t)+FLOW(t)・・・ (1)
ここでtというのは時間の概念です。

tは現在、t+1は明日とかです。

(1)を変換すると

STOCK(t+1)-STOCK(t) = FLOW(t)
これは
⊿STOCK =FLOW・・・(2)
となります。

ここで⊿(デルタ)は変化を表す記号です。

つまりストックの変化した量はフローの量です

さてここまで押さえたところで、会計の話に戻りたいと思います。

会計には、必ず理解すべき財務諸表というものがあります。

1:貸借対照表(バランスシート, B/S)
2:損益計算書(ProfitLossStatement, P/L)
3:キャッシュフロー計算書(CashFlow Statemet C/F)
です。

B/Sに出てくる用語はすべてストックです。
P/Lに出てくる用語はすべてフローです。
C/Fに出てくる用語はすべてフローです。

売上や、原価、売上総利益といったことばはすべてP/Lに出てきますから、
フローの概念です。

逆に現金、在庫、売掛金などは、B/Sに出てきますから、ストックの概念です。

このストックである現金がいくら変化したかをキャッシュフローといいます。
これを詳しく説明したものがキャッシュフロー計算書です。現金というストックが変化した量ですから(2)にもとづいてフローなのです。

この3つの財務諸表は後日説明します。

ちょっと難しい話ですが、このストックとフローは経営分析にも必要な概念です。
経営分析の本を読むといろんな指標とその計算式がでてきて、理解するのに
一苦労ですよね。
でも経営分析もこのストックとフローで基本的な分析内容が決まるのです。
あとは用語が難しいだけです。

STOCK÷STOCK(なんとか比率)安定性分析

STOCK÷FLOW (なんとか回転期間) 安定性分析

FLOW÷STOCK (なんとか回転率) 効率性分析

FLOW÷FLOW (なんとか率) 収益性分析

これだけです.

*例外として、なんとか増加率(成長性分析)や労働装備率など(効率性分析)があります。
*固定長期適合率(STOK÷STOCK)などは適合比率とよんでくれといいたいぐらいです。

たとえば売上総利益率は利益を売上で割って求めます。
利益も売上もフローですから、FLOW÷FLOWです。
だから売上総利益「率」です。

FLOW÷STOCKの例は
一か月の売上を在庫で割ったてもとめる在庫回転率です。
100万円の売上があり、期間の平均在庫額(の売上相当額)が10万円だったとすと。
在庫が10回転したといこととです。

STOCK÷FLOWは上記の逆数ですから
1÷10=0.1か月=約3日
在庫は約3日間で回転するということとです。だから回転期間という指標になります。

この経営分析については、また後日ご紹介します。

利益の計算ちゃんとやってますか?

お肉というのは相場が常日頃変動しています。
かといってお肉屋さんの店頭の価格が毎日変わることはないですよね。

だからといって、利益計算を適当に計算しているわけではありません。
ある程度仕入価格の変動を見越しながら、なるべくお客様には迷惑をかけないように利益を計算して販売価格を決定しています。

それでは、お肉屋さんではどのように利益を計算しているのでしょう。
簡単に見て行きたいと思います。

まず基礎的な取り決めとして、

*Pはある商品の販売単価
*Qはある商品の販売数量
*Cはある商品の仕入単価
*Πはギリシャ語の大文字のパイと読みます。ある商品の売上総利益。当面これを利益と呼びます。
*また在庫は考えません。

上記を利用すると、
PQは売上高
CQは仕入原価(ここでは販売原価)
となります。
また、
売上総利益(Π)=売上(PQ)-売上原価(CQ)
Π = PQ-CQ (1)
と表現できます。

この(1)式の両辺を売上PQで割って100をかけると

Π÷PQ×100 = (1-C÷P)×100

利益を売上で割ったものに100を掛ける・・・これは一般的に利益率(π)と呼ばれるものです。

*πはギリシャ語で小文字のパイと読みます(ブログ最後のTIPSを参照ください)。

利益率は、
π=(1-C÷P)×100 (2)
と表示されます。

また、利益率がπのとき原価率は
原価率=100-πであらわせます。

つまり利益率が30%のとき、原価率は70%となります。

(2)の両辺から100を引くと

π-100=100-C÷P×100-100
 
さらに両辺にマイナスをかけると、
100-π = C÷P×100

100-π は原価率ですから
原価率 = C÷P×100となります。

仕入単価(C)は決まっているとして、上記利益率を確保するための販売単価(P)をもとめなければなりません。

(2)より
π=(1-C÷P)×100  
Pについて変換すると、
P = C÷(1-π÷100) (3)
となります。

この(1-π÷100)ですが、実は原価率を100で割ったものです。
つまり原価をこの数値でわれば、目標利益を達成するための販売単価Pが決まります。
この数値を値入率とも呼びます。

たとえば仕入値900円の商品からπを40%稼ぎたいときは
(3)より、
P=900÷0.6
=1500円
となります。

確認のためπを計算すると、
π=(1500-900)÷1500×100=40%となります。

まれに40%の利益なら原価に1.4かければいいんじゃない?という方がいます。この場合、Pは1260円(1.4×900)、πは28.6%と目標からかけ離れてしまいます。
(実際に店頭でスタッフがよく起こすミスなので注意です。)

そうかじゃあ目標の利益率を得るためには、原価を原価率で割ればいいんだな?簡単じゃないかと思うでしょう。でもそこが肉屋経営の難しさ。
実際には、設定した価格ですべてが売り切れるとは限りません。消費期限が近づいて、値引きをするかもしれません。売れ残って廃棄をするかもしれません。
また、お肉の加工中には、脂肪や筋などの商品にはなりきれないものや、作業くずが発生します。
これを歩留まりといいます。
現実には消費税もあります。
これらをすべて考慮に入れた上で、値入率を決めておかないと、目標の利益率はとうてい達成できません。
この点については後日ご紹介します。

TIPS 大文字と小文字
 経済学や統計学、そして会計の世界ではローマ字(およびギリシャ語)の大文字がある数字や変数をあらわす記号として用いられます。そしてその文字の対応する小文字がその数字や変数の変化率やなにかに占める割合として利用されます。 たとえば、大文字のΠ(パイ)が利益だとすると小文字のπ(パイ)は利益率として利用されます。